意見書・パブリックコメントの取り組み

「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」のパブリックコメントを提出しました。

 

「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の意見

特定非営利活動法人 消費者ネット・しが
理事長 土井 裕明


「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の原案に関し,以下のとおり,意見を申し述べます。

【該当箇所】 第32,第33(2)(3)
 事業者が,アフィリエイトのしくみを利用してアフィリエイターに広告をさせ,アフィリエイターが虚偽誇大広告を行うようなケースが少なからず見受けられる。今回の「留意事項」において,このようなケースについても言及されていることは評価できる。アフィリエイターが虚偽誇大広告を行っていることを事業者が知っている場合はもちろん,容易に知り得た場合や,調査を怠った場合にも,事業者には責任があるというべきである。景表法や健康増進法上の法的責任を問えるか否かについてはともかく,行政として,指導を行っていくべきである。 


【該当箇所】第34(2)
 事業者が,一般消費者を装って,商品を賞賛する書き込みなどを行う,いわゆるステルスマーケティング(ステマ)への対策も必要である。今回の「留意事項」において,この点についても言及されていること,さらに,ステマは通常「著しく」の要件を満たすと明言したことは評価できる。ただし,ステマであることを外部から証明することは困難であるから,ステマの疑いのあるネット上の書き込みについては,書き込みを行った者と事業者との関係を証明するための調査方法について,さらに検討され,場合によっては事業者にステマ行為と関連がないことを証明させるなどの対策を検討することを希望する。 


【該当箇所】第41(1)
 事業者に都合のよい体験談を抽出したり,アンケート結果を歪曲して,これを広告に利用している例はきわめて多いと思われる。事業者には,すべての体験談やアンケート結果を保存させ,行政の調査においてこれを提出させるべきである。不実証広告規制との関係で,このような指導は可能だと思われる。

【該当箇所】第41(2)
 今回の「留意事項」において,いわゆるシリーズ商品の問題について言及されていることは評価できる。シリーズ商品には,機能性表示食品と特定保健用食品を同一シリーズとするもののほか,いわゆる健康食品に過ぎないものを,機能性表示食品や特定保健用食品と同一シリーズに位置づけるもの,いわゆる健康食品に過ぎないものを,医薬品や医薬部外品と同一シリーズに位置づけるものもあると思われる(いわゆる栄養ドリンクの類がその例である) 。これらのシリーズ商品にも同様の問題があることを「留意事項」に明記されたい。 

 
【該当箇所】第33(1)
 「本広告は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある」とされているが,このレベルであれば,虚偽誇大表示等に当たることは間違いないと思われる。「当たるおそれがある」ではなく,「当たる」と明示すべきではないか。

【該当箇所】第33(2)
 こちらも「本広告は虚偽誇大表示等に当たるおそれがある」ではなく,「本広告は虚偽誇大表示等に当たる」と明記すべきである。また,本広告は,暗示的な表現といえども,疾病の治療または予防の効果を表示するものであるから,医薬品医療機器等法上医薬品とみなされることになり,そもそも,同法上の承認を受けずに広告をすることは許されないはずである。「留意事項」第22(3)オでも,(疾病の治療または予防を目的とする効果または身体の組織機能の一般的増強,増進を主たる目的とする効果)「等の表示は,当該表示が著しく事実に相違するものであるか,著しく人を誤認させる表示であるかを問わず,医薬品としての承認を受けない限り,表示することはできない。」と記載されている。本広告は,これに該当するもののはずであり,虚偽誇大表示に当たるか否かを問うまでもなく,医薬品医療機器等法上,許されない広告であることを明記すべきである。


以上