意見書・パブリックコメントの取り組み

滋賀県消費者基本計画(第3次)に対する意見書を提出しました。

 

消費者基本計画(第3次)に対する意見書


「滋賀県消費者基本計画(第3次)」(以下「原案」といいます。)に対し,以下のとおり,意見を提出します。

第1 重点施策1  消費者取引の適正化

当団体は,過去に,県からの委託を受けて「不当広告110番」の事業を実施しました。その結果,市場には不適切な広告がまん延し,とりわけ,いわゆる健康食品の広告において,その傾向が著しいことが明らかとなりました。
国においては,機能性表示食品の制度が始まりました。これは,一定の要件の下に,食品の機能性表示を認めるというものです。逆にいえば,その要件を満たさない食品には,機能性表示は許されないということが,いっそうはっきりしたともいえます。
いわゆる健康食品には,効能・効果を暗示する広告,体験談を紹介して効能・効果を期待させる広告があふれています。
原案では「景品表示法に基づき、適正な広告・表示を行うよう事業者に対する指導を強化します。」と記載されていますが,これまで,県が,この分野に関してどのような指導をどの程度行ってきたのか明らかではありません。
基本計画において,この点についての指導の数値目標を掲げるなどして,重点的に取り組みを行うことを期待します。

第2 重点施策5  消費者教育・学習の推進について

1 消費者教育推進法との関係について

第2次計画の期間中に,消費者教育推進法が成立しました。新法では,地方においても,消費者教育推進計画を策定することと,消費者教育推進地域協議会を組織することが努力義務とされています。しかしながら,当県においては,現時点で,消費者教育推進計画は完成しておらず,消費者教育推進地域協議会も組織されていません。
原案においても,消費者教育・学習を推進するという方針は明記されてはいますが,消費者庁が作成している「消費者教育イメージマップ」と照合すると,その取り組みには不十分な点があるように見受けられます。
そこで,まずは,滋賀県消費者教育推進計画を早期に策定するとともに,消費者教育推進地域協議会を組織することを計画に盛り込むことが望まれます。このように消費者教育を推進する体制を整えることによって,イメージマップの穴の部分を埋めていくことも可能になるのではないかと思われます。

2 若者の消費者被害の防止のための消費者教育について

大学生等の若者については,消費者被害が集中して発生しているにもかかわらず,「大学等の学生を対象とした出前講座を実施します。大学等の設置者に対し,消費者教育の実施を求めていきます。」といった一般的な取り組みが記載されているにとどまっています。
大学の設置主体との意見交換などを通じ,若者に対する消費者教育の重要性についての理解を求める取り組みを進めたり,大学生協と協働した取り組みを行ったり,県の予算で外部講師の派遣を行うなど,大学での消費者教育を強化すべきです。
 
第3 重点施策8  高齢者等への支援

改正消費者安全法が平成28年6月に施行される予定であることを踏まえ,消費者安全確保地域協議会の設立の準備に着手することを明記すべきです。地域の見守りに関しては,市町の取り組みが中心になるかも知れませんが,
原案においても,高齢者等の見守り体制の充実強化を図ることが記載されていますが,福祉関係者や介護事業者との日常的な連絡体制の構築など,より具体的な施策が明記されることを期待します。

第4 重点施策9  法令違反事業者等への指導強化

1 適切な指導権限の発動

原案では,「特に苦情相談の多い悪質事業者に対しては,国や他都道府県,警察とも緊密に連携し,行政処分や指導などの厳正な対処を行い,被害の拡大防止と被害の未然防止を図ります。」とされています。
しかしながら,実際には,特定商取引法または県条例に基づく行政処分は,平成22年度以降の5か年でわずか3件にとどまっています。
厳正な処分を必要とする案件がこの程度しかないとは考えにくいところです。適切な法令の執行を確保するため,処分権限の発動を妨げる原因をあきらかにし,そうした障害を除去することを計画でも明記すべきです。

2 勧誘を拒絶する意思を表明した消費者に対する不招請勧誘禁止の徹底

滋賀県消費生活条例23条,同規則35条,別表9号では,「消費者が契約を締結する意思がない,または勧誘を拒否する旨を表明しているにもかかわらず,なおも契約の締結を勧誘し,または契約を締結させること。」を不当な取引行為と規定し,事業者がこれに違反して取引を行ったときは,その改善のために必要な措置を執るべきことを指示することができるとしています。
内閣府消費者委員会の専門調査会においても,訪問販売,電話勧誘販売をあらかじめ拒否する意思表示をしている者に対する勧誘禁止の制度を導入することが議論されています。当県の条例では,すでに前記のような規定が導入されているのですから,これを十分に活用して,不招請勧誘を端緒とする消費者被害の防止に積極的に取り組むべきです。
そこで,いわゆる「訪問販売(訪問買い取り)お断りステッカー」の取り組みを,県においても積極的に推進し,ステッカーの表示のある世帯に対する訪問販売を排除する施策を講じることを求めます。


以上