2016年度学習講演会

消費者問題学習講演会Ⅱ

 
 2016年1015日(土)14001630「知っておきたい食品表示と食の安全~健康食品に飛びつく前に~」をテーマに滋賀弁護士会館4階大会議室において滋賀弁護士会と共催で開催しました。講師に森田満樹氏をお招きし食品表示と食の安全・安心について正しい理解や知識を学ぶ機会として開催しました。
 
(1) 食品に関する相談と表示に関する法律
 
JAS法、食品衛生法、健康増進法が1つになって新しい食品表示法が20154月に施行されました。その中で、機能性表示食品制度がスタートし、新たに栄養表示が義務化されました。メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法も改正され、表示違反には罰則が規定されました。
 
食品の表示や広告の相談は年々増加傾向にあり、2015年度の消費生活相談では健康食品公告の相談や健康被害の相談が第3位でした。
 
(2) 新しい食品表示のポイント
 
アレルギー表示の変更、加工食品の栄養成分表示が義務化、機能性表示制度の創設がされアレルギー表示では、①特定加工食品等を廃止し(マヨネーズなら卵を含む等が省略可能だった)、表記省略を不可能とした、②原則として個別表記とする(原材料名の直後に○○を含むと表示する)、③一括表示を詳しくする(省略せずまとめて表記する)こととなりました。
 
加工食品の栄養成分表示の義務化では、エネルギー・たんぱく質・資質・炭水化物・ナトリウム(食塩相当量)を基本ルールとして表示することとなりました。
 
消費者のメリットは、アレルギー表示や食品添加物、栄養成分や食塩相当量がわかりやすくなったことです。
 
(3) 健康食品にとびつく前に~食の安全から考える。
 
健康食品のリスクは、通常食品であれば体積や味・香りがあり、特定の成分を過剰摂取することはなかったものが、錠剤やカプセルの製品は特定の成分を抽出するため、容易に過剰摂取できます。そのため安全性に問題がある場合があります。日本人が通常の食事をしている限りビタミンやミネラルが不足することはありません。また、医薬品との併用で副作用などの健康被害も発生しています。
 
20154月より、栄養機能食品は12種類のビタミン・5種のミネラルに加え、新たにn-3系脂肪酸、ビタミンk、カリウムの成分が一定量の範囲を満たす場合に企業が消費者庁に届出、受理されたものは機能性の表示ができる。これは、生鮮食品も表示可能となりました。
 
機能性表示制度の受理された届出情報は、消費者庁で確認できます。
 
(4)まとめ
 
消費者は表示を適切に読み取る消費者力が求められます。栄養表示等の義務化をきっかけに消費者がどう活用するかがこれからの課題だと思いますと結ばれました。