滋賀県内ヒアリング調査を行いました。

ヒアリング調査報告

 
 
 
1.主旨
各市町における消費者行政の実情や、地方消費者行政交付金の廃止と各自治体の自主財源化について尋ね、消費者の安全安心を醸成していくための活動につなげていくために実施しました。
 
2.目的
  ①消費者ネット・しがとして、現在の市町における消費者行政の状況がどのようになっているのか。
  ②地方消費者行政推進交付金の活用状況がどのようになっているのか。
  ③地方消費者行政推進交付金の廃止後、県内各自治体における自主財源の状況がどのようになるのか。
 
3.調査期間
  201789月に行いました。
 
5.調査結果
 
(1)地方消費者行政活性化交付金をどのように活用していますか
 
①相談員の増員と相談員の処遇改善を図るための報酬の向上。
②啓発の充実を図るための啓発品等の購入。(リーフレット・啓発用回覧板・バンドエイド・トイレットペーパー・マグネット・うちわ・ティーバック・訪問販売お断りステッカー)
③消費生活相談員等レベルアップを図るための研修参加支援。(国民生活センター等への研修)
④弁護士相談会(住民対象)の実施。
⑤消費生活相談機能整備・強化事業。(相談員対象の顧問弁護士による困難案件への助言:専門家の活用)
⑥講座の開設 啓発番組の有線放送。
⑦地域社会における消費者問題解決力の強化に関する事業。
 
(2)地方消費者行政推進交付金の廃止後、自治体の自主財源状況はどのようになりますか。
 
①事業メニューを工夫して交付金を活用できる内容とします。
②交付金終了後の一般財源の増額は非常に困難な状況。消費者教育→地域の解決力強化などと連携します。
③活性化交付金が終了した事業メニューから自主財源(一般財源)にて予算要求を行う予定です。
④予算がとれるかわからないが、全て自主財源で予算計上する予定です。
⑤年度毎に財政課と協議をします。
⑥同じ規模の予算額を措置する予定です。
⑦なし(広報掲載など、費用のあまりかからないものは続けます)。
⑧啓発物品の購入は、縮小するが他の予算で行う予定です。
⑨啓発物品は今年度で終わりになると思います。
⑩今まで通り予算請求していくが、終了したものについては事業が後退します。
⑪一般財源を確保予定です。。
⑫啓発活動のうち、有線放送は続けます。
⑬市の単費で来年度から相談員を1名増やす見込みです。
⑭新規事業で、高齢者世帯に電話の機械(通話録音)を付けます。(貸与)
 
(3)地域団体との連携や地域協議会・消費者被害防止サポーター等の取り組みについて
 
①地域協議会の設置はありませんが、現在、社会福祉協議会が中心となった組織(福祉団体や人権擁護団体、医療機関、弁護士会、警察など、相談に対する機関等)において、情報共有などを行っています。
②消費者問題啓発協力員の制度を設け、街頭啓発や出前講座での寸劇など、協力いただいています。
③地域協議会、消費者被害防止サポーター等はありません。地域見守りネットはあるので連携できればと思っています。
④マイバック持参の街頭啓発・消費生活講座等を開催しています。
⑤消費生活研究会と連携し、商品適正調査業務や消費生活コーナー運営業務について委託し啓発普及を行っていきたいです。  
⑥消費者団体は、リサイクル等を行っています。モニター事業は行っていますが、グループにはなりにくいように思います。
⑦今年度から、市内各区自治会長に「地域安全連絡所責任者」と併せて「消費生活安全確保地域委員」を委嘱。会員で研修等をしています。
⑧消費生活啓発員がいます。月一回定例会、勉強会、出前講座に行って紙芝居(老人クラブ等)見守り事業を開催予定です。
⑨民生委員・社協等とは必要に応じ情報提供等相互にしています。
⑩出前講座を行っています。
⑪地域協議会未設置。消費者学習の啓発業務は委託しています。
⑫消費者団体がないので、社協などの組織の協力と学校・警察などとの情報共有と連携が必要だと思います。
⑬町内に、防犯と交通安全の連絡協議会は設置しています。
 
 
(4)相談にかかわる課題や思いについて
 
①第三者に聞かれたくない話もあり、顔が見えない独立した相談者のプライバシーが保てる相談室の設置を希望します。(持っていける電話があればとの声もありました)
②障がいを持った方・高齢者への対応をどのようにしたら良いかわかりません。
③いつでも相談員が弁護士のアドバイスを受けられるよう、弁護士と契約するなどの体制づくりをしてほしいです。
④本来の消費者相談案件でない事案についても相談員に直接話を聞いて欲しい等、名指しで相談にこられるため対応せざるを得ないときがあります。
⑤消費者相談専用の掲示板やチラシなどの設置場所の確保。
⑥小さい市町になると、相談者は、相談したくても顔見知りに相談できないという思いがあり、なかなか相談にこられないように思います。
⑦全体的に相談件数が少ないとノウハウがたまりません。
⑧担当に言ったら、どのような事も動いてくれると思っておられる相談者もいるので、どこまで対応して良いのかわかりません。
⑨相談受付件数は、ここ数年高止まりの状況が続き、複雑、専門化していると思います。
高齢者からの相談も含め、「自主交渉」が困難な事案が増え、「あっせん解決」の割合が顕著に増加し、また処理期間についても「継続処理」が増える傾向にあります。
 
 
 (5)期待する支援について
 
①相談員の研修費用や啓発物品は予算で決まるので国などの支援を期待している。
②地域協議会等未設置のため、どうしていくか手探り状態。形だけ作っても意味がないので、協力・支援がほしい。
③10年後、20年後、慣れた相談員がいなくなっていくと困るため、これからの人材育成をお願いしたい。
 
6)消費者行政を後退させない今後の課題について
 
①相談者が消費生活相談窓口の存在を知らないケ-スも多いため、さらに相談窓口の周知が必要です。
②相談員の処遇確保と消費者行政の大切さをアピールする。
③財源の確保や関係課との連携強化。(セーフティーネットなど)
④高齢者や独居老人に対する消費者保護。
⑤情報提供の範囲(情報共有)→秘密保持義務との兼ね合いが難しい。
⑥交付金制度により積み上げてきた地方消費者行政の取り組みを活かし、さらに強力に推し進めるため、国における財源確保とともに、交付金の制度に関して新たなメニューの提示などについて検討いただきたい。