2017年度消費者問題学習講演会Ⅱを開催しました。

消費者問題学習講演会Ⅱ

 
 2018年3月10日(土)13:30~15:30滋賀弁護士会館4階大会議室に於いて、「ごみダイエットでスマートな暮らしを」をテーマに京都大学大学院地球環境学堂准教授の浅利美鈴さんをお招きし、食品ロスについての学習会を開催しました
 開催の挨拶では、国連のSDGs「持続可能な開発目標」の中にも環境にかける負荷を削減しようという目標がある。私たちの消費生活で、家庭からのゴミも環境に大きな負荷がかかっているのだと思う。私たちもゴミはなるべく出さないように心がけてはいるが、今どのようなことが起きているのかを学んでいきたいと思う土井理事長が話されました。
 
内容
 
ゴミとは
 ゴミとは、定義されているものがなく、消去法として液体でもない固体の不要な物がゴミとされています。ゴミは法律上、日本の場合産業廃棄物と一般廃棄物にわかれ、日本人1人が一日に出すごみ(一般廃棄物)の量は平均1kg。産業廃棄物も含めると約12kgとなっています。
災害時に出る災害廃棄物も問題になっており、市町村がゴミを処分することになっていますが、通常だと産業廃棄物として出てくる物もあります。
 
家庭ごみの細組成調査
大切な調査のひとつとして家庭から出されたゴミを細かく調査しています。調査を始めた40年前には使い捨ての商品はほとんどありませんでしたが、今や20%位あり年々増加しています。少子化のため子ども用紙おむつは減り、高齢化に伴い大人用使い捨て紙パンツが増加しています。ペット用のシートも増加しています。
   
食品ロス
 世界で食品ロス(フードロス)というのは生ごみ全般を指しますが、一般的に日本で言われる食品ロスは、食べ残しなどの食品です。
 食べ残しの判断基準として食品の8割以上が手をつけられていないものを手つかずの食品と呼び、生ごみ全体の3分の1位と多くを占めて出てきます。贈答品も食生活に合わなければ捨てられる場合があります。廃棄された物の中から期限前の商品もでてきます。
 スーパー等の廃棄のほうが多いように思われますが、食品ロスに限ると実際は一般家庭から出されるゴミの量も変わらないことがわかりました。600万トンという食品ロスは、国連が年間に世界中で食糧援助をしている300万トンの約倍になると言われています。
  賞味期限のチェックは冷蔵庫の点検が1週間に何回できるかで変わってきます。食べるつもりだったが気付くと期限が切れていた。同じようなものを買いすぎたなどの例もあげられます。
 
個人(家庭・買い物)で食品ロスを減らすために
①食品の管理として、食品収納庫数を減らす、冷蔵庫・食品庫のこまめな管理、期限表示だけで判断しない、良いものを少なめに購入するように心がける。
②買い物時の工夫として、空腹で買い物しない、できるだけ計画的に、パック売りを冷静に判断し期限の早い物から購入。
③スーパー・コンビニは自分の冷蔵庫・食品庫と考え買い込まない 。食べ切れない時はお裾わけ。
④小皿を多用、 環境負荷の高い肉類は特に無駄にしない、フードドライブへの協力。
⑤外食時には、小盛りしてもらえるかの確認、ドギーバックの利用推奨、3010運動(宴会での食べ残しゼロ)など
 
まとめ
 「ごみ」は社会の変化を映す鏡。1980 年代後半から 1990 年に至る経済成長において大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済システムが形成され、それ以降の経済停滞期においても大量のごみが排出されてきました。その背景には、環境問題やごみ問題に対する社会の関心はあるものの、便利・簡単消費志向が定着するライフスタイルとなってきたこと、少子・核家族化による人口減少が起こっている反面で世帯数が増加していること、都市型のライフスタイルが一般化したことでごみの自家処理の機会が消失したこと、 OA 化の進展により紙ごみが増加したことなどにより、 20 世紀後半の廃棄物排出量は増加し続けたといえます。
 エコロジカルフットプリントは、地球の環境容量をあらわしている指標で、人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な面積として示した数値。現在の日本の生活を続けていると地球が2.3個分必要になります。問題なのは、世界中の平均でも1.5個必要になっていること。これは先進国が上げているのですが、このままでは地球がいくつあっても足りません。
 循環基本計画では、数値目標が示されている。リサイクルに比べ取組が遅れているリデュース(発生抑制)・リユース(再使用)の取組強化。社会にどんどん資源やエネルギーが流れ込み、今までだと誰でもできるリサイクルが進展してきた。これも重要だが元栓を閉めた方が早いということ、これが資源生産性を高めると言う事。
ゴミから出発して今後の視点に繋げていけたらいいと思うとお話いただきました。